退職代行は使って大丈夫?モームリ事件で不安な人へ|違法・非弁行為の境界線を解説

夜のオフィスを背景に、退職代行は使って大丈夫?違法・非弁行為の境界線と書かれたアイキャッチ画像 辞めるか迷う人へ

退職代行サービス「モームリ」をめぐるニュースを見て、「退職代行って使って大丈夫なの?」と不安になった人もいるかもしれません。会社を辞めたい気持ちはあるのに、ニュースをきっかけに余計に迷ってしまうこともありますよね。

ただ、今回のニュースは「退職代行を使うこと自体が違法」という話ではありません。問題になりやすいのは、退職の意思を伝えるだけなのか、会社との交渉や法律的な対応まで含むのかという境界線です。

この記事では、モームリ事件の概要を整理しながら、「自分の場合、退職代行を使って大丈夫なのか」を考えるための判断材料をまとめます。法律用語の解説だけでなく、退職前に自分の困りごとを整理できる形で見ていきます。

この記事でわかること
  • モームリ事件で何が問題になったのか
  • 退職代行そのものが違法なのか
  • 民間の退職代行で検討しやすいケース
  • 労働組合型や弁護士相談も考えたいケース
  • 退職代行を使う前に整理しておきたいこと

モームリ事件で何があったのか

退職代行サービス「モームリ」をめぐって、運営会社の前社長らが弁護士法違反などの罪に問われ、検察側から求刑されたことが報じられました。報道によると、問題とされたのは、退職希望者を弁護士に紹介し、その見返りとして報酬を受け取っていたとされる点です。

ここで大切なのは、今回のニュースが「退職代行を使った人が問題になった」という話ではないことです。主に問われているのは、運営側が弁護士に利用者を紹介する仕組みや、その報酬の受け取り方についてです。

また、ニュースで出てくる「求刑」は、検察側が裁判所に対して求めた刑のことです。裁判所が最終的に決める「判決」とは別のものなので、「もう刑が決まった」と誤解しないようにする必要があります。

退職代行を検討していた人にとっては、不安になるニュースかもしれません。ただ、今回の件だけを見て「退職代行は全部危ない」と決めつけるのではなく、何が問題になりやすいのかを分けて考えることが大切です。

退職代行で不安になるポイントは「違法かどうか」だけではない

今回のニュースを見て、「退職代行は違法なのでは?」と感じた人もいると思います。ただ、読者側の不安はそれだけではないはずです。

本当に気になるのは、「自分が使っても大丈夫なのか」「会社と揉めないか」「変な業者を選んでしまわないか」「自分にも不利益があるのではないか」という部分ではないでしょうか。

退職代行そのものがすべて違法というわけではありません。たとえば、本人の退職意思を会社へ伝えるだけであれば、退職代行サービスとして行われている範囲に含まれることがあります。

一方で、会社と条件を交渉したり、未払い残業代や慰謝料などの法律的な請求を本人の代わりに進めたりする場合は、注意が必要です。つまり、退職代行の不安は「違法かどうか」だけでなく、「自分の困りごとに合った相手を選べているか」が大きなポイントになります。

退職代行で不安になりやすい境界線と相談先の目安を3段階で整理した図表

このように、退職代行は「使うかどうか」だけでなく、「何を頼むのか」で考えると整理しやすくなります。法律的な判断が関係しそうな場合は、弁護士会などの解説も確認しておくと安心です。

退職代行を使う前に、自分の困りごとを整理しよう

退職代行を使うか迷ったときは、いきなりサービス名や料金だけで選ばない方が安心です。まずは、自分が会社に対して何をしてほしいのかを整理してみましょう。

下のように、自分の困りごとを「言えない」「揉めそう」「請求したい」「怖い」に分けると、どの相談先を検討すべきかが見えやすくなります。

困りごと状況の例考えたい相談先
言えない上司に退職を伝えるのがつらい民間の退職代行も検討しやすい
揉めそう有給・退職日・引き継ぎで不安がある労働組合型や労働相談窓口も検討
請求したい未払い残業代・退職金・慰謝料がある弁護士への相談を検討
怖いパワハラ・脅し・損害賠償と言われている無理に自分だけで対応しない

会社に辞める意思を伝えたいだけの場合

まず確認したいのは、「会社に辞めると伝えること自体がつらいのか」という点です。上司に直接言えない、出社することを考えるだけでしんどい、電話や面談で引き止められるのが怖いという場合、退職代行を検討したくなるのは自然なことです。

このように、退職の意思を会社へ伝えてもらうことが中心であれば、民間の退職代行サービスを検討しやすいケースもあります。ただし、サービスごとに対応範囲は違うため、「どこまで対応してくれるのか」は事前に確認しておきたいところです。

有給や退職日で会社と揉めそうな場合

次に確認したいのは、有給消化や退職日をめぐって会社と揉めそうかどうかです。「有給を使わせてもらえないかもしれない」「退職日を会社都合で延ばされそう」「引き継ぎを理由に辞められないかもしれない」と感じている場合は、少し慎重に考える必要があります。

単に退職の意思を伝えるだけではなく、会社との調整や話し合いが必要になる場合、対応できる範囲はサービスによって変わります。不安が大きい場合は、民間業者だけで判断せず、労働組合型の退職代行や専門家への相談も選択肢に入れると安心です。

未払い残業代やパワハラなど法律問題がある場合

未払い残業代、退職金、パワハラ、慰謝料、損害賠償などが関係している場合は、さらに注意が必要です。これらは単なる退職の連絡ではなく、法律的な判断や交渉が必要になる可能性があります。

このような事情があるなら、退職代行業者だけで完結させようとせず、弁護士への相談も検討した方が安心です。特に、会社とすでに揉めている場合や、お金の請求が関係する場合は、「安いから」「すぐ辞められそうだから」だけで選ばないことが大切です。

退職代行を選ぶ前にメモしておきたいこと

退職代行を使うかどうかに関係なく、退職前には自分の状況をメモしておくと安心です。頭の中だけで考えていると、「怖い」「早く辞めたい」という気持ちが強くなり、冷静に判断しにくくなることがあります。

メモしておきたいのは、難しい法律の話ではありません。いつ辞めたいのか、有給は残っているのか、会社から借りているものはあるのか、会社と揉めていることはあるのか、という基本的な内容です。

特に、未払い残業代やパワハラ、損害賠償と言われているなどの事情がある場合は、退職代行に依頼する前に内容を整理しておくことで、相談先を間違えにくくなります。

  • いつ退職したいのか
  • 会社に退職の意思を伝えたことがあるか
  • 有給休暇が残っているか
  • 退職日や引き継ぎで揉めそうか
  • 会社から借りているものがあるか
  • 未払い残業代や退職金など、お金の問題があるか
  • パワハラや脅しなど、出社がつらい事情があるか
  • 会社から本人に連絡が来ることが不安か

退職代行とモームリ事件に関するよくある質問

ここでは、今回のニュースを見て不安になりやすいポイントを、よくある質問として整理します。

細かい法律判断は、働き方や雇用契約、会社とのやり取りによって変わります。不安が大きい場合は、退職代行だけで判断せず、労働相談窓口や弁護士などに相談することも検討してください。

ここでは一般的な考え方として、退職代行を使う前に知っておきたいポイントに絞って紹介します。

Q
モームリ事件の判決はもう出たの?
A

2026年6月5日時点では、検察側が刑を求めた「求刑」の段階です。求刑は判決とは異なり、最終的な判断は裁判所が行います。報道では、判決は2026年8月28日に言い渡される予定とされています。

Q
退職代行を使った人も問題になるの?
A

今回問題になっているのは、主に運営側の行為です。退職代行を利用した人が、すぐに法的な問題になるとは限りません。ただし、未払い賃金や損害賠償、パワハラなどが関係する場合は、個別の事情によって判断が変わる可能性があります。

Q
退職代行を使うなら弁護士の方がいいの?
A

退職の意思を会社に伝えたいだけなら、民間の退職代行を検討できる場合もあります。一方で、有給取得の交渉、未払い残業代の請求、パワハラや損害賠償など法律問題が関係する場合は、弁護士への相談を検討した方が安心です。

まとめ|退職代行は怖いものではなく、選び方が大事

モームリ事件のニュースを見て、退職代行に不安を感じた人もいると思います。ただ、退職代行そのものがすべて危ない、違法だと考える必要はありません。

大切なのは、自分が退職代行に何を頼みたいのかを整理することです。退職の意思を伝えてほしいだけなのか、有給や退職日について会社と話し合ってほしいのか、未払い残業代やパワハラなど法律問題まで関係しているのかで、選ぶべき相手は変わります。

退職代行は、追い詰められた人にとっての選択肢のひとつです。ただし、不安なまま勢いで選ぶのではなく、自分の状況に合った相談先を選ぶことが、安心して会社を辞めるための第一歩になります。

ニュースを見て不安になったときこそ、「退職代行は危ないのか」と大きく考えるより、「自分は何に困っているのか」を小さく分けて考えてみてください。その整理ができるだけでも、次に取るべき行動は見えやすくなります。