2023年春、人間ドックを受けた私は、白血病の疑いがあると告げられました。大学病院への紹介状を渡され、受診したその日に「フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」と診断。職場へ戻って仕事を整理する時間もなく、そのまま緊急入院になりました。
職場への引き継ぎは、ほとんどできませんでした。復職するつもりで休職に入りましたが、半年ほどたつと「このまま退職したい」という気持ちが表れました。病気がなかなか治らない焦りと、死への恐怖の中で、仕事へ戻る未来を考えられなくなっていたのです。
それでも治療が進み、休職から約1年半後、私は休職前と同じ職場へ復職しました。この記事では、突然仕事を離れたときの戸惑い、休職中に退職したくなった気持ち、そして復職に至るまでを、一人の当事者の体験として書きます。
人間ドックから、その日のうちに緊急入院になった
始まりは、2023年春に受けた人間ドックでした。そこで白血病の疑いを指摘され、大学病院への紹介状を受け取りました。
大学病院で告げられた病名は、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病。診断後は即日から緊急入院となり、「いったん会社へ戻って引き継ぐ」という選択肢はありませんでした。
朝まで普通に働いていた人が、急に仕事からいなくなる。自分自身も、職場も、その変化に追いつく時間がありませんでした。
引き継ぎができないまま仕事を離れた
突然の入院だったため、担当していた仕事を整理したり、後任へ詳しく説明したりすることはできませんでした。
責任感があるほど、「残した仕事はどうなるのか」「周囲へ迷惑をかけているのではないか」と考えてしまいます。しかし、緊急入院が必要な状況で、普段どおりの引き継ぎまで完璧に行うことはできません。
引き継げなかったことは、仕事を投げ出したこととは違います。まず治療を受けることが、そのときの自分にできる最優先の行動でした。
復職前提の休職だった
休職に入った時点では、治療を終えたら元の職場へ戻るつもりでした。退職や転職を決めて休んだわけではありません。
ただ、休職は「仕事を休めば気持ちも落ち着く」という単純な期間ではありませんでした。治療の先が見えず、以前と同じように働けるのかも分かりません。時間がたつほど、仕事から離れている現実も重く感じるようになりました。
休職から半年後、「このまま退職したい」と思った
休職から半年ほどたったころ、私の中に「このまま会社を辞めたい」という気持ちが表れました。
会社への不満だけが理由ではありません。病気がなかなか治らない焦り、元の生活へ戻れるのかという不安、そして死への恐怖がありました。
目の前の治療で精いっぱいのときに、復職後の働き方まで考えるのは難しいものです。「戻らなければならない」と考えるほど、退職してすべてから離れたい気持ちも強くなりました。
治療中の気持ちと、将来の判断は同じではなかった
結果として、私は休職半年の時点では退職を決めませんでした。
これは「退職してはいけない」という意味ではありません。休職中に退職する選択が必要な人もいます。一方で、病状や生活が大きく変化している最中は、数か月後の自分の体調や考え方を予測することが難しいのも事実です。
すぐに結論を出さなかったことで、治療が進んだ後に、復職するかどうかを改めて考える余地が残りました。
休職から約1年半後、同じ職場へ復職した
治療が進み、休職から約1年半後、私は休職前と同じ職場へ復職しました。
緊急入院した当日も、退職したいと思った休職半年後も、1年半後に同じ職場へ戻る自分を具体的には想像できませんでした。
休職の入口で考えていたこと、治療中に感じたこと、復職できる段階で考えたことは、それぞれ違いました。大きな病気の最中では、仕事に対する気持ちも一定ではありませんでした。
突然休職した人へ伝えたいこと
引き継ぎができなくても、自分を責めすぎない
緊急入院では、通常の引き継ぎができないことがあります。健康や命に関わる状況で、仕事を完璧に整理できなかったことまで自分の責任として抱える必要はありません。
退職したい気持ちを否定しない
治療中に「もう戻りたくない」と感じても、その気持ち自体が間違いなのではありません。私は実際にそう思いました。
ただし、その気持ちが生まれた瞬間に、必ず退職を決めなければならないわけでもありません。決められないときは、結論を保留することも一つの選択でした。
会社への連絡を一人で抱え込まない
本人が連絡できない時期は、家族や会社の窓口を介する方法もあります。連絡頻度や提出書類、休職できる期間は勤務先によって異なるため、就業規則や担当窓口を確認します。
復職と退職を二者択一にしない
復職したら二度と辞められないわけではありません。まず復職できる状態を目指し、実際に働いたうえで、その後の働き方を考えることもできます。
反対に、主治医などと相談した結果、復職を急がない方がよい場合もあります。周囲の期待だけで決めず、その時点の体調を優先することが大切です。
休職中に確認しておきたいこと
- 会社の休職期限と延長条件
- 会社との連絡窓口と連絡頻度
- 復職時に必要となる診断書や面談
- 利用できる健康保険・会社の制度
- 復職後に相談できる勤務時間や業務上の配慮
- 退職を検討する場合の生活費と治療の継続方法
制度は勤務先や加入している健康保険によって異なります。分からないことは、勤務先の人事・健康保険の窓口・医療機関の相談員などへ確認してください。
よくある疑問
病気で突然入院し、引き継ぎができなかったらどうする?
まずは治療を優先します。本人が対応できない場合は、家族などを通じて「連絡できる状態ではない」と勤務先へ伝える方法もあります。業務の詳細な引き継ぎは、体調が許す範囲で後から行うこともできます。
休職中に退職したいと思うのはおかしい?
おかしくありません。治療への不安や仕事から離れたことによって、気持ちが変化することがあります。すぐに結論を出す場合も、いったん保留する場合も、生活・治療・会社の制度を確認して判断することが大切です。
長期休職後に元の職場へ戻れる?
私は約1年半後に休職前と同じ職場へ復職しました。ただし、復職先や業務内容は勤務先の制度、本人の体調、主治医や産業医の判断などによって異なります。
病名は職場へどこまで伝える?
必要な情報や手続きは勤務先によって異なります。すべての同僚へ詳しく説明することと、手続きに必要な範囲で会社へ伝えることは分けて考えられます。伝える範囲に迷う場合は、人事担当者や医療機関の相談員などへ相談してください。
まとめ|休職中に出したくなった結論が、最終的な結論とは限らない
私は、人間ドックをきっかけに白血病が見つかり、引き継ぎもできないまま即日入院しました。復職前提で休職したものの、半年後には退職したいと思い、病気が治らない焦りや死への恐怖を感じていました。
それでも、治療が進んだ後に改めて考え、休職から約1年半後に元の職場へ復職しました。
退職したい気持ちを我慢する必要はありません。しかし、体調も将来も見えない時期に、すべてを決め切らなくてもよいと思います。いま決められないなら、治療を優先し、判断できる状態になるまで結論を保留することもできます。














